訪問看護業界の収益構造と人件費割合について
2025年10月08日
1. はじめに
先日、訪問看護事業を行っているお客様を担当している職員が集まり訪問看護業界についての座談会を開催致しました。当座談会では訪問看護サービスを提供している事業所の「収益構造」と「売上に占める人件費の割合」という2つのテーマで各担当者同士で情報共有や意見交換を行いましたのでご紹介致します。現在、訪問看護業界では少子高齢化に伴い需要が拡大しており事業所の数も増加傾向にあります。一方で看護師さんの給与水準が低い、人手不足、看護師の高齢化などの問題を抱えています。
2. 収益の構造
訪問看護事業者の収益構造について情報共有を行った結果、どの事業者様も売上がしっかりと出ているということが分かりました。訪問看護は少子高齢化に伴い需要が拡大しているため比較的売上は立ちやすいのではという意見が出ました。
訪問看護の収益は、単価×訪問数×看護師人数で決まります。高齢化社会に伴い訪問看護の需要が増えている地域では多くの事業所が売上の面では安定しています。しかし訪問看護の売上は変動しやすく安定しません。訪問看護の売上は看護師が利用者の自宅に訪問し身体介護などのサービスを提供することにより発生しますが利用者が入院やご逝去、訪問看護サービスを利用しなくなった場合は売上が減ることになります。そしてこれらの要因は事業者側で関知できるものではありません。
3. 売上に占める人件費の割合
売上に占める人件費の割合について、ほとんどの事業者様は売上人件費割合が50〜60%の範囲に収まっているということが分かりました。この数字は訪問看護業界では一般的な範囲といえます。中には役員報酬を高めに設定して利益を抑え納税額を少なくしているお客様や売上の伸びよりも人件費の伸びが上回っているため改善策について悩まれている方、利益が出ているにも関わらず資金繰りに困っている方などもおられました。改善案として、基本給を低めに設定して手当を手厚くすれば固定費の削減と従業員のやる気の向上に繋がるのではないかという意見が出ました。また、資金繰りに関しては弊所に在籍している数値計画の専門家に相談してみてはという意見も出ました。
4. おわりに
今回の訪問看護座談会では、「収益構造」と「売上に対する人件費の割合」という2つのテーマについて取り上げました。多くの事業者様に共通する課題として、売上は確保できているものの人件費などの固定費が大きく、経営に影響を及ぼしている点が挙げられます。
人件費をはじめとする固定費を適正な水準に保つことは経営改善や悪化防止につながるだけでなく、節税効果も期待できます。
弊所では、適正な役員報酬の算定や資金繰り表を基にした資金繰り改善のアドバイスなど、事業運営に役立つ具体的なサポートを提供しております。
経営に関するお悩みやご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。