訪問看護業界における福利厚生について
2025年06月12日
ミネルバ税理士法人では、訪問介護のお客様を担当する職員による情報共有の一環として、定期的に座談会を開催しています。今回はその中で話題に上がった「看護業界の福利厚生」についてご紹介します。
訪問看護業界が抱える人手不足の現状
訪問看護の現場では、深刻な人手不足が続いています。
日本看護協会の2023年度の報告によると、訪問看護ステーションの求人倍率は初めて4倍を超えたとのことです。
同報告では、訪問看護師が退職を考える主な理由として、以下の項目が挙げられています。
・他の職場への興味
・子育て
・転居
・結婚
・自身の健康(身体的な理由)
中でも「他の職場への興味」が最も多く、職場への定着率をいかに高めるかが、大きな課題となっています。
福利厚生の充実が鍵に
人手不足の解消には、給与面の見直しだけでなく、福利厚生制度の充実も大きな役割を果たします。特に子育て支援や従業員の健康管理に関する取り組みが、離職防止に効果をもたらします。
子育て支援に関する福利厚生の例
・社員専用保育所の設置
・ベビーシッターや病児保育サービスの法人契約
・出産・子育てに対する支援金の支給
健康・ヘルスケアに関する福利厚生の例
・医薬品の割引提供
・腰痛予防・改善を目的としたサポート制度
福利厚生と税務上の注意点
福利厚生費が「非課税」として扱われるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
・全従業員を対象に公平に提供されていること
・社会通念上、妥当な範囲内であること
これらを満たさない場合、「福利厚生費」ではなく「給与」と見なされ、所得税や社会保険料の課税対象となります。