手技療法業界の抱える課題-手技療法業界の統計分析-
2025年07月28日
ミネルバ税理士法人では毎年、確定申告の情報をベースにして手技療法業界の平均の売上や平均の経費がわかるような統計分析をしています。その上で、各事業主にアンケートを取り、経営課題として話題にあがりやすい売上に関する課題や、集客・人材確保についてなどの結果を整理しました。
一部の内容を紹介させていただきます。同業他社がどのような課題を感じているのかをまとめたものになります。言葉にできない悩みやモヤモヤがもしかしたら言語化されているかもしれません。課題が言語化されたら、改善案の打ち手のアイデアも出やすくなるものです。みなさんの事業経営の役に立てばと思います。
1.売上についての課題
1-1 主要課題(優先度:高)
保険から自費への転換困難
- ・自費メニューの導入に踏み切れない(需要が不明)
- ・お客様への自費施術の勧め方が分からない
- ・自費単価設定の悩み(他院より安く設定している現状)
- ・高齢者中心の患者層で自費転換が困難
コロナ後の売上減少
- ・コロナ前の顧客が来院しなくなった
- ・高齢者患者の来院減少
- ・新規顧客獲得の困難
- ・年々の売上減少傾向
1-2 運営上の課題(優先度:中)
人材確保と集客問題
- ・良い施術者の採用困難により院長一人での運営
- ・集客方法の効果測定困難(LINE広告等の結果が出ない)
- ・継続率向上の方法が不明
- ・他院の成功事例への関心(好調な自費施術、特化メニュー)
1-3 市場環境への懸念(優先度:中)
外部環境の影響
- ・物価高による自費売上への影響懸念
- ・在宅ワーク等による患者減少
- ・保険請求の取りづらさ(業界共通課題)
- ・地域による売上格差(23区内外の差)
1-4 情報ニーズ(優先度:低)
ベンチマーク情報への関心
- ・月間売上1,000万円院の詳細情報
- ・従業員数別売上高データ
- ・売上好調院の具体的施術内容
- ・業界平均売上推移の把握
2.経費について
2-1 重要な経費管理課題(優先度:高)
人件費と採用関連
- ・適切な人件費率の把握(売上に対する比率)
- ・従業員確保の困難と採用媒体の選択
- ・給与と従業員売上の見合い問題
- ・外注切り替えの税務上の可否
広告宣伝費の効果測定
- ・効果的な広告宣伝会社の情報需要
- ・広告宣伝費の適正額と効果測定
- ・MEO/SEO対策の費用対効果
- ・資金繰り困難時の低コスト広告手法
2-2 運営効率化の課題(優先度:中)
経費削減と効率化
- ・他院の経費削減方法への関心
- ・クレジット決済手数料の負担
- ・水道光熱費の業界全体への影響
- ・DX化の効果とターゲット層との適合性
2-3 経費構成の理解(優先度:低)
経費項目の詳細把握
- ・他院の経費割合(特に消耗品、交際費)
- ・接待交際費の具体的用途
- ・研修費の経費計上範囲
- ・適正な経費水準の把握
3.資金繰りについて
3-1 資金繰り悪化への対応(優先度:高)
資金繰り悪化への対応
- ・売上減少に伴う預金減少
- ・保険解約による生活費確保
- ・アルバイト併用による院経営
- ・分割払い負担による資金繰り圧迫
借入と融資相談
- ・追加借入の可能性
- ・融資を受けやすい財務状況の条件
- ・整骨院の平均借入金額
- ・適切な借入タイミング
3-2 設備投資と事業展開(優先度:中)
投資判断の基準
- ・内装工事・施術機器投資の上限額
- ・院移転時の資金計画
- ・20年展開を見据えた投資戦略
- ・物価高騰支援金等の助成金活用
3-3 資金管理の基本(優先度:低)
資金管理知識の向上
- ・適切な手元資金保有額
- ・売上増加と手元現金の関係
- ・法人資金の個人移転方法
- ・資金繰り勉強会の開催要望
4.その他
4-1 税務・経営管理(優先度:中)
節税対策と税務相談
- ・小規模企業共済後の次なる節税対策
- ・ふるさと納税の実施判断
- ・法人成りと個人事業主の選択
- ・専従者給与の税務効果
経営管理の課題
- ・複数院の管理方法
- ・従業員の現金横領対策
- ・50代後半での事業継続判断
- ・店舗拡大時の注意点
4-2 データ分析への評価(優先度:低)
経営分析資料への好評価
- ・図やグラフを用いた解説の分かりやすさ
- ・他院との比較可能性
- ・地域別データの要望
- ・1人治療院特化データの需要
ミネルバ税理士法人では日々の税務相談だけでなく、こうした情報をベースに様々な経営相談にも乗っています。具体的なサービスについてはお気軽にお問合せください。