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ミネルバ会計週報『それって本当に業務委託?名ばかりフリーランスに注意!』2020.6.22

2020年06月22日

その業務委託、雇用契約かも

フリーランスは会社や組織に所属せずに仕事単位で契約を結ぶ、いわゆる業務委託形態での働き方をとる個人事業主です。

事業主と依頼主の間に雇用関係はありませんが、以下のような要素から「使用従属性」があると認められれば、業務委託契約でも雇用契約と見なされることがあります。

①仕事の依頼、業務の指示等に対する諾否の自由の有無②業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無③勤務場所・時間についての指定・管理の有無④労務提供の代替可能性の有無⑤報酬の労務対償性⑥事業者性の有無(機械や器具の所有や負担関係や報酬の額など)⑦専属性の程度⑧公租公課の負担(源泉徴収や社会保険料の控除)

あの天才外科医はフリーランスではない?

ところで、大ヒット医療系テレビドラマシリーズで女優のYさん演じる「失敗しない」スーパー外科医をご存知ですか。彼女は、特定の病院や医局に所属せず、自分の腕一本を武器に突き進むフリーランスの医師として活動しており、医師免許がなくてもできる雑用は一切「致しません」。

そんな彼女を、先ほどの「使用従属性」の観点から見てみましょう(従属性ありは「〇」、なしは「×」)。

まず、①仕事の依頼や業務の指示等に対しては自分で選択。拒否も可能なので「×」。

②業務遂行上の指揮監督の程度は、必要な時は周囲と連携しますが、状況次第で主治医を押しのけて執刀することもあり「△」。③勤務時間は決まっているように見え、残業もしているようなので「〇」。④同じ仕事を第三者に任せられるかというと、契約上はできても、技術面でほかの医師では行えないので「△」。⑤報酬は、手術の成功のときのみに支払われる「×」。⑥機械や器具は病院のものを使用しているため「〇」。⑦専属性は、特定の病院に限らず仕事を引き受けるので「×」。⑧公租公課の負担は、直接源泉徴収等されていないようですので「×」。

以上のことから時間的制約を受けています。道具は病院が用意しているなど、完全なフリーランスとは言えない面があります。

実態上、雇用契約従業員として認定されてしまうと偽装請負という違法行為とみなされ、雇い主は労働者派遣法上の罰金や税法上のペナルティの対象になりますので、彼女に度々手術を依頼するT大学病院は、雇用契約の締結を申し出たほうがいいかもしれません。

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